趣旨表明

本年度、日本で初めて主導的立場にある米国RISC-V基金の後援を得て、「RISC-V Day 2017 Tokyo」日本名「リスクファイブの1日」を日本で開催します。RISC CPUの命令アーキテクチャの体系を統一し、オープン化することで、業界の更なる発展を目的にリスクファイブ(RISC-V)が提唱されていることはご承知のことと存じます。SHコンサルタント株式会社(SHC社)が、幹事会社として運営を担当します。

RISC-Vの2017年現在の年間出荷数量は僅か10K個程度です。しかしながら、GPUやモバイルベースバンドチップを製造している半導体会社がRISC-Vを採用し、2020年までに累計50億個近くのRISC-Vコア(ほとんど全て64ビット構成)が出荷されると推定されます。

RISC-V Shipment Projection R1

リスクファイブは、32ビット、64ビット、128ビットRISC CPUの岩盤規制を緩める「技術の種」となります。我々が眠っている間にも静かに根を伸ばし、GPUやモバイルベースバンドチップ以外の応用分野にも浸透し、設計メソドロジ、周辺論理技術、システムソフト技術、IoTサービス、などを作り変えていくことでしょう。

「RISC-Vの1日」は世界で初めてリスクファイブのみのために開催する1日イベントです。リスクファイブを将来使うこととなる、応用開発技術者、中間管理職者、起業アイディアを持つ開発者、サービスプロバイダ、等の方々が気軽に参画できる「1日」とすることを意図としています。スポンサに協力をお願いし、会社の承認がなくとも自らの興味があれば、どうにか参画できるような費用設定としました。

リスクファイブ(RISC-V)基金から提案があったのが今年9月末で、12月に日本でイベントを開催することとしました。リスクファイブの適用に、日本が出遅れる可能性に懸念があると思ったのでリスクを冒すこととしました。日本では、海外技術との関係が一旦疎になってしまうと、無関心が永続する傾向もあります。手遅れにならないうちに無理にでもイベントを行うことに意義を感じました。リスクファイブ(RISC-V)ワークショップは、2015年初頭に始まり、米国西海岸、東海岸で開催されました。今年春は中国で行われ、今年秋は西海岸、来年春は欧州で行われる予定です。中国のワークショップはnVidia中国が上海交通大学と協賛し主催しました。日本では、唯一のRISC-Vのメンバー企業だったSHC社が東大キャンパスを活用して主催を担当します。世界各国で従来から行われているリスクファイブのワークショップは3日間のフォーマットです。ワークショップは、参加者の時間負担が大きく、一部の人しか参加できない点に着目しました。

RISC-Vの最初のキラーアプリはデータセンタ応用です。データセンタ応用では、ソリューション構築=サービス販売が1企業で閉じるので、マルチアーキテクチャ構成が可能です。、ビデオゲームなどと同じで急峻な立ち上がりが可能です。2016年11月に64ビットのARM V8仮想化されたサーバPOC(Proof of Concept)システムが完成しました。ここまで来るのに5年間かかったのですが、一旦POCができると、たった一年で計3社がARM V8チップセットを発表。中国国内で、100社以上の企業がARM V8ブレードサーバを開発しているという調査結果もあります。

データサーバ用64ビットリスクファイブを2018年末に立ち上げようという計画もあります。データサーバチップセットの岩盤規制を緩和すれば、将来工業電力の2割を消費すると予測されている、データセンタのエネルギ効率を向上させ地球環境を改善にも貢献できます。ARM V8サーバは、インテル系サーバよりエネルギ効率が良いとされます。64ビットリスクファイブが出れば、さらなる低消費電力化が可能です。一旦リスクファイブがデータセンタに適用されれば、高品質のコンパイラ、クロスツール、ライブラリ、OSが完成します。これらは、以下に述べる他の分野にも適用可能です。

第2のRISC-Vのキラーアプリは、スマホ、PC、タブレットです。RISC-Vメンバ企業には、これらチップセットのサプライチェインパートナが含まれています。飛躍的な置き換えが起こるかは不明ですが、時間をかけてサブシステムをRISC-Vを採用していくと予想されます。

第3のRISC-Vのキラーアプリは、組込み(IoT)分野です。日本には、かつて世界の50%以上の組み込み応用を供給してきた歴史があります。現在は20%程度かもしれませんが。RISC-V基金が設立される前から、誰が言いだすという訳でもなく、日本企業がRISC-V組み込み応用を、他国と連携して立ち上げるという期待感はあります。1990年代2000年代に、日本では、小さい会社がサプライチェインを作り、組込みシステムを共創した歴史があります。30年後の今、2020年代にグローバル化した日本で、近隣諸国と共創し「組込みシステム第二章(IoT)」を新しい世界環境の中で構築することが求められていると思います。

第4のRISC-Vのキラーアプリは、自動車分野です。この分野に参入するには他分野の実績が必要で時間がかかりますが、コミュニティが所有するRISC-Vのアーキテクチャのライフタイムは1企業が所有するアーキテクチャに比較して長いので、最終的にはRISC-Vは自動車分野にも参入すると考えます。

RISC-Vの本来目的は、全応用分野にわたっての汎用RISC CPUの命令アーキテクチャの統合とソフト共通化です。一人一人の応用技術者が自分の傍にある応用に即してRISC-Vを読み換えていくことを要求されるのです。RISC-Vがもたらすプロセサ技術の規制自由化で、中小企業が組込み技術、通信技術、システム応用技術などの分野に参画できる可能性が増えます。このイベントを通してRISC-Vを使い、自身の応用にどのように適用できるかを考えていただければ幸いです。

色々、至らない点はあると思いますが、その都度ご指摘いただき、よろしくご容赦お願い申し上げます。

RISC-V Day 2017 Tokyo実施委員長

SHコンサルティング株式会社

河崎俊平

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